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上海大冒険!

青年座の若者たちが、「上海大冒険1862」をやったのだ。

自分たちのやった芝居を、全く違うキャストがやる。
しかも、「HAPPY MAN]ですよ。

おもしろいねえ。

私も、卒業公演で演出したことがあって、
でも、私の中には、消しても消えない「マキノテイスト・上海」が刷り込まれていて、
そこから逃げようもないし、そのテイストをできる限り再現することが、生徒のためでもあると思ったし。
それはそれで、かなり素晴らしいできばえであったと、自負している。

が、脚本を、活字で読んで、上演するとなると、
そりゃ、大変だわ。

書かれてない、なんか、そんな感じの、テイストというか、
美意識というか、そういうものに支えられていたりするので、
これを、読み取るのは、簡単じゃないのだ。

つかこうへいさんの脚本を、見たことのない人が、
活字だけで上演するのがとても難しいように、
それは、とても個人的で、ある時代的で、ある一つの美意識に支えられた言葉であって、


言葉はさように、独自のものなのだが、

そういう意味で言うと、
シェイクスピアや、チェーホフや、イプセンなどという、古典といわれる部類の作家たちは
なんとも、普遍的な作品をものしたのかと思うし、

現代が、普遍的な作品を生むのが難しい時代なのだとも思う。

「上海大冒険」に戻ろう。

そこには、「バカ」がつくほどの一途さが底辺に流れていて、
それは、「いい者」も「悪者」も同じなのであって、
そんな一途さのばかばかしさが本当に愛らいいのだけれど、
でもって、凄くばかばかしいテイストは満載なのだけれども、

上演する側が、いかに本気でやるかによって、そのばかばかしさは「美」になっていくのだ。

マキノさんの本をつくっている美意識を客観的に確認したように思う。

愛せるか。

そのバカを愛せるか。

俳優のやりどこはそこ一点。

しかし、おもしろい本なのだ。

自分たちがやってきたことを改めて、見た思いなのだ。

こういうの好きだなあ!

先日、「地点」の公演を見たのだが、
なんか凄いんだけど、
太田省吾さんのテクストをばらばらにして、
再構成して、
実験的な演劇なのだけれど、

たまにはこういうものを見て、
頭をシャッフルしたほうがいいと思ったが、
観劇体験として、楽しいのは「上海」なんだなあ。

しょうがないね、体質なのだから。

by futu-is-best | 2010-01-28 23:16