クロ女王様とナナ姫
結局、ほとんど追放の身となられた。
それでも、一日に一回くらいは、夜尋ねて来て
ご飯を食べて行かれる。
ナナ姫が留守の間や、
寝静まった、夜中に。
どこで寝ておられるのか、
少し、やせたように見える。
お越しになっても、ナナ姫がいつやってくるかと
落ち着く暇もなく、帰っていかれる。
どこへ?
ナナ姫
細心の注意を払っているつもりでも
時に、ナナ姫と鉢合わせになることがあって、
そうすると、もう、大ゲンカ。
というより、一方的にクロ女王様が、
追いやられてしまう。
哀れとは思えども、
いかんともしがたい野生のおきて。
いつ帰っていらしてもいいように、
食事だけは用意しておく。
そんなことしかできないのだった。
3キログラムちょっとのクロ女王様にとって、
今や5キログラムとなったナナ姫の権勢は
逆らえぬものとなってしまったのだ。
ああ、クロ女王様、おいたわしいと思っても、
ナナ姫とて、もとは捨て猫の身。
必死で自分の領地を守ろうとする姿にもまた、哀れを催すのだった。
今夜もまた、大戦があった。
クロ女王様が、再びお食事にだけでも
姿を現してくれることを祈るのみ…
by futu-is-best | 2012-10-24 00:00 | 猫はなし